Twitter(X)を利用していると、アーティスト・絵描き・VTuberなどが
・○○の件ありがとう
・例のやつ、届きました
など、具体的な相手を示さない“曖昧な返信”をしているのを見かけることがあります。
このような投稿には、フォロワーを混乱させず、相手のプライバシーを守り、自分自身の身を守るための“文化的テクニック” が隠れています。
この記事では、アーティストが曖昧な表現を使う理由や、@0・伏せ字・暗号表現の背景、そしてトラブルを避けるSNSでの賢い振る舞いについて詳しく解説します。
なぜアーティストは曖昧な返信を使うのか?
アーティストが曖昧な表現を使う背景には、以下のような理由があります。
・相手の身バレを防ぐため
・トラブルや嫉妬を避けるため
・炎上リスクを下げるため
・大量の質問に“まとめて返す”ため
ファンとのコミュニケーションは非常に繊細で、適切な距離感を保つことが求められます。だからこそ、曖昧な表現が重宝されているのです。
@0とは?アーティストが使う代表的な曖昧返信
曖昧返信で最もよく使われるのが「@0」という表記です。
これは実際のユーザーIDではなく、“非公開の相手”に返信したことを示すプレースホルダー(代替記号)です。
@0が使われる理由
・誹謗中傷から相手を守るため
・ファン同士の嫉妬やトラブルを避ける
・大量の質問への返信を効率化する
例えば、マシュマロ(匿名質問サービス)から届いた質問に対して
と投稿すれば、“誰かに返信した”ことだけを伝えられます。
アーティストの曖昧返信という文化の根底には、@0の技術的な仕組みと、そのプライバシー保護の役割があります。この技術がなぜこの文化を支えているのか、その全体像をご覧ください。→(@0の技術的な仕組みと、そのプライバシー保護の役割)
伏せ字(○○・◯◯・A○○など)が使われる理由
@0以外にも、アーティストはよく以下のような伏せ字を使います。
・◯◯ちゃん
・A○○さん
・某フォロワーさん
これらの伏せ字が使われる理由は、次のような“相互の安全”のためです。
① 特定のファンを優遇していると思われないようにする
名前を出して感謝を述べると、他のファンが
・特別扱いされている
と感じることがあります。伏せ字は平等性を保つ効果があります。
② 誰かを晒すリスクを避ける
特定のフォロワーの名前を出すと、アンチや悪意のあるアカウントのターゲットになる可能性があります。
③ DM・匿名サービスとの整合性を保つ
マシュマロやDMなど“非公開のコミュニケーション”で届いた内容に返信する際、公開の場で相手の名前を出すのはNG。伏せ字はその折衷策です。
曖昧返信のテクニックとして利用される@0以外の隠しメンションの具体的な仕組みについては、こちらの記事で詳細に解説しています。→(@0以外の隠しメンションの具体的な仕組み)
暗号的な言い回しはなぜ使われる?
アーティストは時に
・わかる人だけわかればいい
などの暗号めいた言い回しをします。
これは次のような理由から生まれます。
① 詳細を書くと第三者から誤解される
トラブル・悩み相談・センシティブな内容などを詳しく書くと、「一体誰のこと?」と憶測が生まれやすくなります。
② ターゲット以外には読ませたくない
特定の数人にだけ伝わればよい内容は「暗号化」されがちです。
③ ネガティブな空気を作りたくない
などを直接書くと、TL全体を暗くしてしまうため、やんわりと表現することがあります。
曖昧返信が使われるシーン
アーティスト界隈では以下のような場面で曖昧返信が使われます。
曖昧返信のような文化は、鍵垢・裏垢など、Twitterの非公開コミュニティの秘密と深く関わっています。→(鍵垢・裏垢など、Twitterの非公開コミュニティの秘密)
① マシュマロへの返信
特にセンシティブな内容の質問は、@0などでまとめて返信されることが多いです。
② ファンの感想・応援メッセージへの返信
複数のファンから同じテーマのメッセージが来る場合、「皆さんありがとう」と曖昧に返すことで公平性を保ちます。
③ トラブルや相談内容への返事
個人を特定しないために伏せ字・暗号表現を使うのが一般的です。
曖昧返信にはメリットだけでなくデメリットもある
曖昧表現は便利ですが、誤解を生むこともあります。
① フォロワーが「自分のこと?」と混乱する
曖昧すぎると、フォロワーが
と誤解する可能性があります。
② 匂わせと捉えられることも
あまりに“意味深”な表現だと、逆に詮索されやすくなり、炎上の原因となる場合も。
③ 過度に曖昧だとコミュニケーション不足に陥る
ファンが「自分の感想が届いていない」と感じ、距離ができてしまうこともあります。
鍵垢や裏垢といった非公開文化の仕組みを理解すると、それと深く関連する@0の謎、そしてクローズドなコミュニティを支える技術の全体像を把握できます。→(@0の謎、そしてクローズドなコミュニティを支える技術)
アーティストが曖昧表現を安全に使うポイント
曖昧にすることは悪いことではありません。しかし、適度なバランスを保つことが重要です。
① 発信の目的を明確にする
・どの範囲に伝えたいのか?
これを明確にしておくとわかりやすくなります。
② 暗号表現は必要最低限に
濃い表現が続くとファンは不安になります。難解な表現が多すぎないよう注意しましょう。
③ 必要に応じて補足する
・複数のメッセージへの返信です
などの補足説明が効果的です。
まとめ|曖昧返信は“相手も自分も守る”コミュニケーション技術
アーティストが曖昧な返信を使うのは、ただの癖ではなく、フォロワー全体の関係性を保ちつつ、相手のプライバシーを守るための非常に高度なコミュニケーション技術です。
- @0 → 個人を特定しないための匿名返信
- 伏せ字 → 相手を保護しつつ伝える工夫
- 暗号表現 → 詳細を公開したくないときの手段
これらは“誰でも真似できる”SNSでの安全な距離感づくりに役立ちます。

