わたしがかつて愛用していたのは、パナソニックのNA-FR80S3という洗濯機でした。
ところが、使い続けて10年が経つと、洗濯槽に蓄積した汚れが原因で、せっかく洗った衣類に汚れが付着するという、まさに逆効果な状況に直面しました。
そこで注目したのが、洗濯槽の裏側に汚れが溜まらないという特徴を持つ「シャープの穴なし洗濯槽」搭載の洗濯機です。この新しい洗濯機を実際に使ってみたところ、その使い心地や効果はいかに?
穴なし洗濯槽を使って感じたこと~クリーン洗浄のすすめ
新しい穴なし洗濯槽は、構造上汚れが溜まりにくい設計になっているため、長く使っても安心できそうです。ただ、より清潔を保つために、洗濯が終わるたびに「クリーン洗浄」をするようにしています。
「クリーン洗浄」といっても、たったの3分ほど回すだけ。水道代や電気代への負担もほぼ気にならないレベルです。
もしまだクリーン洗浄を使っていないなら、少しの手間を惜しまずぜひ取り入れてみることをおすすめします。
このお手入れを続けることで、皮脂汚れや汗に由来するアンモニア臭といった、洗濯槽や衣類への嫌な臭いを防げるので、快適さがぐっと増します。
穴なし洗濯槽の主なメリット
・節水効果が高い
洗濯の新しい形を体感して、毎日の家事をより快適にしてみませんか?
汚れがしっかり落ちる
穴なし洗濯槽で汚れがしっかり落ちる理由は、槽内の水が外側に分散されることなく効率よく攪拌されるからではないかと考えられます。
一般的な穴あき洗濯槽の場合、槽の内層と外層の間にも水が入り込むため、水の勢いが分散されてしまいがちです。
一方、穴なし洗濯槽では、衣類が入った槽内の水のみで攪拌が行われるため、摩擦が強まり、汚れが効果的に落ちやすい構造になっています。
節水効果が高い
穴なし洗濯槽には、内層と外層の間に水が溜まる仕組みがないため、その分の水が不要になります。
この構造により、1回の洗濯で使う水の量が大幅に削減され、日々の洗濯水量を積み重ねると、かなりの節水が期待できます。
さらに、洗濯槽に水が溜まるまでの時間が短縮されることも、忙しい毎日の家事を少しでも効率よく進められる大きなメリットだと感じられます。
汚れ落ちの良さと節水効果を兼ね備えた穴なし洗濯槽は、毎日の家事を快適にする頼もしい味方といえそうです。
穴なし洗濯槽の気になる点とは?
穴なし洗濯槽は多くのメリットを持つ一方で、いくつかの気になる点もあります。以下にその詳細を挙げてみました。
デメリットのポイント
脱水力がやや弱め
通常の洗濯槽と比べて、脱水時の水分除去力が若干劣る印象があります。
ゴミが槽内で取り除きにくい動作音が大きい内蓋がない内槽が汚れやすい脱水力がやや弱め
穴なし洗濯槽の構造を考えると、その理由は簡単に想像できます。
脱水時に絞られた水は、底部のパルセーターの穴や隙間部分、さらに内層壁上部の隙間から遠心力によって外へ排出されます。
一方、穴あき洗濯槽の場合、槽全体に無数の穴があり、そこから水分が均等に排出される仕組みです。
これに比べると、穴なし構造では水分が多めに残る傾向があり、時には湿り気が強く残る衣類も出てしまうことがあります。
ただし、脱水後に風乾燥運転を取り入れることで、仕上がりがふわふわになることがあります。
この機能を使えば、衣類の手触りが良くなるというメリットがありますが、注意点として、最低でも30分の運転が必要なため、時間に余裕がある場合でないと利用しづらいことが挙げられます。
穴なし洗濯槽の脱水力には多少の課題があるものの、風乾燥運転を活用することでカバーできます。時間と用途に合わせて使い分ければ、快適な洗濯ライフを楽しめるでしょう。
ゴミが槽内で取り除きにくい
槽内に備え付けられているゴミ取りネットにはある程度のゴミが集まるものの、浮き輪付きのゴミ取りネットなどを使用しても、ほとんどゴミが集まらないことがあります。
この現象は、穴なし洗濯槽特有の水流によるものかもしれませんが、詳細は明らかではありません。
洗濯中に発生したゴミが衣類に付着してしまうことも少なくありません。また、ゴミ取りネットに少量でもゴミが溜まり始めると、洗濯中にさらに多くのゴミが発生する傾向があるようです。
ゴミが大量に発生しないようにするには、ゴミ取りネットの中に溜まったゴミを頻繁に取り除くことが効果的です。
こまめなメンテナンスを心がけることで、衣類へのゴミの付着を軽減し、洗濯槽内を清潔に保つことができます。
穴なし洗濯槽のゴミ問題は、適切なメンテナンスで対策が可能です。ゴミ取りネットのチェックと清掃を習慣化して、より快適な洗濯環境を整えましょう。
動作音が大きい
これまでパナソニックや東芝など、いろいろなメーカーの洗濯機を使用してきましたが、シャープの洗濯機には独特の音がする時間帯があることに気付きました。それはまるで「象の鳴き声」のような音です。
この音は、他の洗濯機では聞いたことのないもので、シャープ特有のものかもしれません。ただ、音自体はそれほど高音でもなく、耳障りに感じるほどではないため、日常的に気にする必要はない程度だと思います。
シャープ洗濯機を使用していると、こんなユニークな特徴にも気づくことができるのは、少し面白いポイントかもしれませんね。
内蓋がない
洗濯機全般に言えることですが、内蓋がないタイプは、本体内壁と洗濯槽の間に汚れが溜まりやすい点が気になります。
シャープが内蓋を省いた理由は、シャープの説明によれば、「内蓋がないことで毛布などの大きな洗濯物が洗いやすくなる」という理由から内蓋を省いたとのこと。
しかし、これには衛生面における疑問が残ります。
たしかに、内蓋がないことで大きな洗濯物を楽に投入できる利便性はあります。
しかし、洗濯終了後に外蓋を閉めたままだと、内部に湿気がこもり、カビの発生源となる可能性があります。
一方、内蓋が付いている場合、湿気が内槽内に留まりやすく、洗濯機全体に広がらないため、衛生面では安心感があります。
内蓋がないことで発生する問題風乾燥機能の使用以前の洗濯機との比較内槽が汚れやすい
シャープの穴なし洗濯機にも、穴あり洗濯機と同様に内槽と外槽の二重構造が採用されています。画像の右側を見れば、内槽と外槽が分かれている様子が確認できます。
穴なし槽では、内槽と外槽の間に水がたまることはありませんが、湿気によってカビが繁殖するリスクは否めません。
こうした点から、槽内のニオイや汚れが気になる場合には、適切なお手入れが必要になります。
手軽なお手入れには「槽クリーン機能」が便利
槽洗浄は効果的な手段ですが、どうしても手間がかかるのがネックです。その点、「槽クリーン機能」は日常的なお手入れに最適です。
この機能を使うことで、内槽と外槽の両方を簡単に洗浄できるため、余計な汚れを防ぎます。
洗濯終了後すぐに槽クリーンを行えば、付着した汚れも簡単に落ちるため、面倒な槽洗浄を頻繁に行う必要がなくなります。
また、この機能は3分ほどで完了するうえ、水道代や電気代もほとんどかかりません。洗濯後に漂うアンモニア臭も防げるので、非常におすすめの機能です。
機能を使わない場合のリスク
もし槽クリーン機能を使用しない場合、槽底のパルセーターの裏や外槽部分にカビが繁殖するリスクが高まります。そのため、槽クリーンを習慣化することが重要です。
風乾燥機能の活用でさらに安心
「電気代が気にならない」という方には、風乾燥機能を併用することで、槽内の湿気をさらに効果的に取り除けます。この方法を活用すれば、手間のかかる槽洗浄をほとんど行わずに済む可能性もあります。
シャープ穴なし洗濯機を使ったリアルな感想
これまで述べた内容は、シャープの穴なし洗濯機を1年間使用して得た実体験に基づくものです。
さらに、2~3か月使用した時点のデータをもとにした記事も以下に掲載していますので、興味のある方はぜひそちらも参考にしてみてください。
洗濯機の機能を最大限に活かしつつ、日々のメンテナンスを怠らないことで、快適で清潔な洗濯環境を保つことができます。
新しい洗濯機選びのポイント
これまで使っていた洗濯機(2010年製のNA-FR80H3)は12万円以上と高額だったことを思い出し、買い替えの決断は簡単ではありませんでした。
しかし、衣類に付いた汚れが悪化し、衛生面や体臭への影響を考えると、新しい洗濯機を導入する必要性を感じました。
購入の決め手となった条件
購入の決め手となった条件は「洗濯槽が汚れにくい洗濯機」です。従来の穴あき洗濯槽では、洗濯槽の外側に蓄積した汚れが洗濯中に衣類へ付着し、「ピロピロワカメ」と呼ばれる汚れが発生することが避けられませんでした。
この汚れを徹底的に除去するには、洗濯槽を分解して掃除するしかありません。
そこで目を付けたのが「穴なし洗濯槽」。洗濯槽に穴がないことで、汚れが槽の外側に溜まるのを防げるという仕組みに魅力を感じ、今回の購入を決定しました。
洗濯槽が汚れにくい構造を持つ洗濯機を選ぶことで、日々の手間を減らし、衣類の清潔さを保つことが期待できます。これまでの経験を踏まえ、次は「穴なし洗濯槽」の洗濯機で快適な洗濯ライフを目指します。
選んだ洗濯機はSHARPの穴なしタイプ!
新しい洗濯機を探しに、早速電器店に足を運びました。そこで目にしたのが、お目当ての「穴なし洗濯機」。
しかし、店頭に並ぶ洗濯機約20台の中で、穴なしタイプはわずか3機種しかありませんでした。しかも、販売しているメーカーはSHARP(シャープ)のみ。
なぜ穴なし洗濯機が少ないのか?
店員さんに理由を尋ねると、「脱水力が弱いため、売れ行きが伸びず他のメーカーは製造していない」とのこと。
しかし、これには疑問が残ります。「黒カビが原因で衣類が汚れる問題はどうするのか?」という点です。
決断:汚れない洗濯機を選ぶ
最終的に考えたのは、「汚れにくさを取るのか、それとも脱水力を重視するのか」という選択肢でした。
今回の買い替えの目的が「衣類の汚れを解消すること」である以上、迷いを断ち切り、SHARPの穴なし洗濯機を購入することに決めました。
「汚れない」をテーマに選んだこの洗濯機が、どんな結果をもたらすのか。これから使っていくのが楽しみです!
なぜ穴あき洗濯槽が主流なのか?その理由を探る
シャープの穴なし洗濯槽について詳しく見てきましたが、ではなぜ他のメーカーの多くが穴あき洗濯槽を採用しているのでしょうか?その理由を解説します。
穴あき洗濯槽が選ばれる理由
一番の理由は、シャープの穴なし洗濯槽が抱えるデメリットが、製品開発において大きな課題となるからではないかと考えられます。
穴なし槽は「洗濯槽が汚れにくい」という大きなメリットがある一方で、「脱水力が弱い」「製造コストが高い」といったデメリットがあります。
これらが消費者のニーズに完全に応えられていないと判断され、多くのメーカーが穴あき槽の開発を続けているのだと思われます。
また、穴あき槽の欠点である「洗濯槽外側の汚れ」を解決するため、各メーカーが槽内を清潔に保つ新技術や、槽洗浄機能を進化させる方向に注力していることも、穴あき槽が主流である理由の一つです。
このような進化により、より多くの消費者に受け入れられる洗濯機を目指しているのではないでしょうか。
シャープが選んだ独自路線
一方で、シャープは他社が開発しない「穴なし洗濯槽」という独自の方向性に注目し、この路線で他との差別化を図りました。
この選択により、特定のニーズに応える商品を提供し、ユニークな市場ポジションを築いたと考えられます。
それでは、穴なし洗濯槽を清潔に保つための槽洗浄の方法について説明していきます。
シャープ穴なし洗濯槽のお手入れ方法:槽洗浄の選択肢と手順
シャープの穴なし洗濯槽を清潔に保つためには、以下の3つの槽洗浄方法があります。それぞれの特徴と手順を詳しく解説します。
1. 槽クリーン(簡易洗浄)
特徴
槽壁、底面のパルセーター裏側、槽外の3カ所を水だけで洗い流す自動洗浄機能。手軽に利用できるため、毎回の洗濯後に実施するのがおすすめです。
操作手順
1、電源ボタン「入」を押す。
2、「槽クリーン」ボタンを押す。
3、「スタート」を押す。
運転時間は、わずか3分。
洗浄効果
水のみで汚れや臭いの原因物質(皮脂、汗、ほこりなど)を洗い流します。ただし、水洗いのため臭い成分が完全に除去できない場合があります。
清潔な状態を維持するためには、1~2か月ごとに以下の「槽洗浄」を取り入れるのが効果的です。
2. 槽洗浄(槽内のみの洗浄)
特徴
洗濯槽内の壁面とパルセーター裏側を専用クリーナーでしっかり洗浄します。槽内の臭いや汚れが気になる場合に適しています。
準備するもの
シャープ純正塩素系洗濯槽クリーナー(ES-C)または市販の塩素系クリーナー。
操作手順
・洗濯槽クリーナーを投入し、ふたを閉める。
・電源を入れず、「洗い」ボタンを押しながら「入(電源)」を押す。
※表示が「CL」→5秒後に「6H」に変わる(漬け置き時間)。
必要に応じて漬け置き時間を調整する(洗いボタンで調整可能)。
・「スタート」を押して洗浄開始。
3. 槽洗浄(槽内と槽外の2カ所洗浄)
特徴
槽内だけでなく、槽外も徹底的に洗浄する方法。臭いや汚れが特に気になる場合に適しています。
準備するもの
・シャープ純正塩素系洗濯槽クリーナー(ES-CD)。
・柔らかい布(槽内を拭くため)。
・ケツまたは延長排水ホース(排水時に使用)。
操作手順
・排水ホースを洗濯機本体にセット(または延長ホースを準備)。
・洗濯槽クリーナーを投入し、ふたを閉める。
・電源オフの状態で「洗い」ボタンを押しながら「入」を押す。
※表示が「CC」に切り替わる。
・「コース」ボタンを押して時間を6時間以上に設定する。
・「スタート」を押して洗浄開始。
・終了後、排水作業を行い、すすぎ→脱水を完了させる。
・槽クリーン後の風乾燥機能を使用。
槽クリーン後に水滴が残るのが気になる方は「風乾燥」を利用するのがおすすめです。
電気代:1時間あたり約1~2円。
槽クリーン操作手順
・「風乾燥」ボタンを押し、乾燥時間を設定(30分推奨)。
・ふたを閉め、「スタート」を押す。
シャープの穴なし洗濯槽は、日常的な「槽クリーン」から定期的な「槽洗浄」まで、多彩なお手入れ方法を用意しています。状況に応じた方法を選び、清潔な洗濯槽を保つことで、快適な洗濯ライフを実現しましょう。
まとめ
シャープの穴なし洗濯機を1年間使った感想を簡単に述べると、「どの洗濯機にもメリットとデメリットがある」というのが結論です。
以前投稿した、半年使用時点でのデータも後半に記載していますが、今回の内容ではさらに詳細にシャープの洗濯槽の実情をお伝えしました。お役に立てたでしょうか?
穴あり槽と穴なし槽、それぞれの課題がありました。
穴あり洗濯槽は、普段の手入れを怠ると黒カビが繁殖する可能性が高くなります。最近の洗濯機には黒カビを抑制する機能が備わっているものもありますが、完全に防ぐことは難しいのが現状です。
一方、穴なし洗濯槽は、内槽部分は黒カビが付きにくいという特徴があります。しかし、内槽の外側(外槽側の壁面)は時間が経つにつれて黒カビが発生する可能性があります。
これに伴い、臭いが発生することもあるため、日頃の槽クリーンや定期的な槽洗浄が重要だと感じました。
シャープ穴なし洗濯機のメリットでは、たとえ外槽に黒カビが繁殖しても、衣類が触れる内槽部分は清潔に保たれることです。そのため、長期間使用しても衣類を安心して洗えるのは大きなポイントです。
また、シャープの洗濯機には手軽に使える「槽クリーン」機能があり、これを活用すれば日常的に清潔を保つことができます。
さらに、定期的に「槽内のみの槽洗浄」を行うことで、面倒な作業を最小限にしながら洗濯槽の清潔さを長く維持できます。
結局シャープの穴なし洗濯機は、普段の手入れを簡単に済ませたい方や、洗濯槽の清潔さを重視する方に向いている製品だと感じました。
槽クリーン機能や槽内のみの洗浄をこまめに行うことで、日々の洗濯を快適に保つことができます。