パナソニックの自動調理鍋、「オートクッカービストロ(NF-AC1000)」。
「煮込み」や「カレー」が得意なのはなんとなく想像がつきますが、購入を検討する際に気になるのが「揚げ物」はできるのか?という点ではないでしょうか。
結論から言うと、たっぷりの油を使ったいわゆる「天ぷら」や「唐揚げ(ディープフライ)」などの揚げ物調理はできません。
しかし、がっかりするのはまだ早いです。 このオートクッカービストロ、実は「揚げ物のような満足感」を出せる料理や、本来なら「素揚げ」の工程が必要な面倒な料理を、驚くべきクオリティで再現する実力を持っています。
今回は、実際にオートクッカービストロを使用したレビューを元に、「揚げ物」というキーワードに対する真の実力を、大学いもとチャーハンを例に徹底解説します。
なお、オートクッカービストロの基本的な機能や、カレー・角煮などの全体的な使用感については、以下の記事で詳しくレビューしています。まずは全体像を知りたい方はこちらをご覧ください。

オートクッカービストロは厳密な「揚げ物」には非対応
まず大前提として、オートクッカービストロはたっぷりの油で食材を泳がせる「揚げ物」機能は搭載されていません。
電気フライヤーのように油をなみなみと注いで、トンカツや天ぷらを揚げることはできない仕様になっています。 もし、純粋な「揚げ物機」を探している場合は、専用のフライヤーを検討する必要があります。
しかし、オートクッカービストロには、他の自動調理鍋にはない「業界トップクラスの高火力(1285W)」と「鍋底かき混ぜ機能」があります。 この2つの武器によって、揚げ物に匹敵する、あるいは揚げ物の工程をショートカットできる調理が可能になるのです。
【検証1】大学いも:素揚げ不要で「カリッ」「ホクッ」を実現
「揚げ物」ができないと聞いて一番困るのが、下ごしらえで「素揚げ」が必要なメニューではないでしょうか。 その代表格が大学いもです。
美味しいけれど、油の処理やカロリー、手間を考えると家庭で作るにはハードルが高い料理です。 しかし、オートクッカービストロはこの常識を覆します。
油で揚げないのに揚げたような仕上がり
親記事の実践レビューによると、オートクッカービストロで作る大学いもの調味料は「みりんと砂糖のみ」。 大量の油は一切使用しません。
「揚げていないのに、飴色のきれいな光沢が出る」
これがオートクッカービストロの真骨頂です。 独自の「かき混ぜ技術」が、少ない調味料と食材を絶妙なバランスで加熱し続けるため、焦げ付くことなく、まるで揚げた後のようにタレが絡んだ状態に仕上がります。
食感は完全に「お店の味」
肝心の食感についても、レビューでは「お芋の食感もほくほくで大満足」と絶賛されています。 通常、油で揚げないと出せない「外側のカリッとした食感」と「中のホクホク感」が、高火力とかき混ぜ機能によって再現されているのです。
「揚げ物はできない」と言いつつも、実質的に「揚げ物(素揚げ)の工程」を必要とする料理を、最小限の油と手間で完成させてしまう点は、揚げ物機能以上のメリットと言えるかもしれません。 使用する油が少ないため、当然ながらヘルシーなおやつになります。
【検証2】チャーハン:高火力で「炒める」機能が揚げ物をカバー
「揚げ物」をしたいというニーズの中には、
・カリッと仕上げたい
という願望が含まれていることが多いです。 その実力を測るのに最適なのがチャーハンです。
自動調理鍋でチャーハンを作ると、火力が足りずに「炊き込みご飯」のようになってしまうことが多々あります。 しかし、オートクッカービストロは違います。
1285Wの高火力で水分を飛ばす
オートクッカービストロは、鍋底をかき混ぜながら業界最高クラスの1285Wの高火力で食材を熱します。 この火力が、食材の余分な水分を一気に飛ばします。
親記事の検証でも、「わずか10分で、まるで中華料理店で出てくるような、ふわふわでパラパラのチャーハンが完成」という結果が出ています。
今回のチャーハンで見せた「パラパラにする技術」は、実はカレー作りでも「飴色玉ねぎ」を自動で作るために活かされています。 炒め機能だけじゃない、かき混ぜ技術の応用レシピはこちらをご覧ください。

「炒め」機能が「揚げ焼き」に近い効果を発揮
中華料理店のようなパラパラチャーハンは、多めの油と高火力で米をコーティングするように炒めることで完成します。 これはある意味、米を油で「揚げ焼き」にしている状態に近いです。
オートクッカービストロは、この「高火力での炒め」が非常に得意です。 そのため、厳密な揚げ物はできなくても、「多めの油でカリッと炒める」調理は完璧にこなします。
麻婆豆腐や回鍋肉など、油通しが必要な中華料理が美味しく作れるのも、この高火力と攪拌機能が「擬似的な揚げ(油通し)」の効果を果たしているからです。
まとめ:揚げ物はできないが、揚げ物級の満足度は作れる
オートクッカービストロで「揚げ物」ができるかどうかの検証結果は以下の通りです。
- × できない:天ぷら、フライ、唐揚げなどの「ディープフライ」
- ◎ 得意:大学いも、中華炒めなどの「素揚げ・油通し」が必要な料理の再現
「鶏の唐揚げ」そのものを作ることはできませんが、大学いものような「面倒な揚げ工程が必要な副菜」を、油を使わずヘルシーに、かつボタン一つで再現できる点は、単に揚げ物ができる以上の価値があります。
油の処理やカロリーが気になって揚げ物を敬遠している方こそ、この「揚げないのに美味しい」高火力の実力を試してみる価値があるでしょう。
揚げ物(揚げ焼き)のクオリティは高いビストロですが、煮込み料理や日常の使い勝手はどうなのでしょうか? ライバル機種「ホットクック」との違いをトータルで比較しました。


