スマートウォッチを使っていると、誰もが一度は直面するジレンマがあります。
それは、
・節電すると時刻がずれたり通知が来ない
という問題です。
この相反する願いを叶えるためには、スマートフォン側の設定とアプリの設定を「最適なバランス」に調整する必要があります。
この記事では、バッテリー消費を最小限に抑えつつ、時刻と通知の正確性をキープするための具体的な設定術（バックグラウンド更新や通知フィルターなど）を深掘りして解説します。
同期頻度とバッテリー消費のメカニズムを知る
まず、なぜ同期がバッテリーを食うのか、そしてなぜ同期しないと時間がずれるのか、その仕組みを簡単に理解しておきましょう。
スマートウォッチは単体でも時間を刻めますが、内蔵されている「クォーツ発振器」は、実はそれほど精度が高くありません。
このズレを修正するために、スマートウォッチは定期的にスマートフォンの正確な時刻データをBluetooth経由で取得（同期）します。この通信回数が多ければ多いほど、スマホとウォッチ双方のバッテリーを消耗します。
つまり、鍵となるのは「無駄な通信を減らし、必要な通信だけを通す」設定です。
スマートウォッチは同期のたびに「スマートフォンの時刻」を正として読み込みます。つまり、大元のスマホの時刻が数分ズレていると、ウォッチの時刻も永遠に合いません。設定を行う前に、まずはスマホ側の時刻設定が正しいか確認しておきましょう。
【Android/iPhone共通】バッテリーと精度を両立する「黄金設定」
ここからは、実際に設定すべき項目を解説します。機種によって名称は多少異なりますが、基本概念は同じです。
1. 通知アプリの「断捨離」を行う
最も手軽で効果が高いのが、通知のフィルタリングです。
多くの専用アプリ（Zepp Life, Garmin Connect, Huawei Healthなど）には、「アプリ通知設定」という項目があります。ここで「すべて」をオンにしていませんか？
LINE、電話、メール、カレンダーなど、本当に手元で確認したいアプリだけに厳選してチェックを入れましょう。
通知の回数が減れば、それだけバックグラウンドでの通信処理が減り、結果としてバッテリー温存につながりますが、定期的な「生存確認（接続維持）」は行われるため、時刻同期への悪影響は少ないです。
2. バックグラウンド更新の「選択的許可」
ここが最も重要なポイントです。
節電のために「バックグラウンド更新」を全てオフにしてしまうと、アプリを開いていない間に同期が止まり、時刻が大幅にずれる原因になります。
スマホ全体の節電を行いつつ、ウォッチとの通信ラインだけは確保するという考え方です。
【重要】スマートフォンの「省電力モード」の落とし穴
バッテリーを長持ちさせたい一心で、スマートフォンの「省電力モード（低電力モード）」を常時オンにしていませんか？
実はこれが「時刻ズレの最大の犯人」であるケースが多いです。
省電力モードは、画面オフ時にアプリの通信を強制的に遮断する働きがあります。これにより、スマートウォッチ専用アプリが「スマホ側から殺された状態」になり、長時間同期ができず、結果として時刻が狂います。
ただし、バッテリー節約を意識しすぎて省電力設定を強くしすぎると、必要なBluetooth接続まで遮断されてしまうことがあります。「設定を変えたら全く繋がらなくなった」というトラブルに陥った場合は、以下の復旧手順を試してください。
解決策：アプリごとの最適化除外設定
スマホ全体の省電力モードを使う場合でも、スマートウォッチ管理アプリだけは「特別扱い（例外設定）」にする必要があります。
Androidの場合
設定 ＞ アプリ ＞ (使用しているウォッチアプリ) ＞ バッテリー ＞ 「制限なし」または「最適化しない」を選択。
iPhoneの場合
設定 ＞ (使用しているウォッチアプリ) ＞ 「Appのバックグラウンド更新」をオン。
さて、ここで一度立ち止まってみましょう。そもそも、なぜあなたのスマートウォッチは時刻がずれてしまうのでしょうか？設定だけでなく、ハードウェアや基本的な接続環境に原因がある場合もあります。
以下の親記事では、時刻ズレの「三大要因」や、品質による違いについて詳しく解説しています。設定を見直しても直らない場合は、根本原因をこちらで確認してみてください。
「持ち上げて画面点灯」設定の見直し
同期頻度とは少し異なりますが、バッテリー消費を抑えるために見直すべき設定として「持ち上げて画面点灯（チルト起動）」があります。
この機能は便利ですが、デスクワークや運転中に意図せず画面が点灯し、バッテリーを激しく消耗させます。
バッテリーが減り、ウォッチが「省電力モード」に自動移行してしまうと、今度はウォッチ側から同期を停止してしまい、時刻がずれるという悪循環に陥ります。
これにより、無駄な放電を防ぎ、常に正常な同期モードを維持できるバッテリー残量を確保できます。
天気の同期頻度を調整する
多くのスマートウォッチには天気予報機能がありますが、この情報の更新頻度もバッテリーに影響します。
設定アプリ内で、天気の更新間隔を選べる場合、「15分ごと」や「30分ごと」ではなく、「1時間ごと」や「手動」に変更するだけで、通信回数を大幅に減らせます。
天気情報は時刻情報と一緒にパケット通信されることが多いため、ここを緩めることで、システム全体の負荷を下げることができます。ただし、時刻同期自体はBluetoothがつながっていれば定期的に行われるため、天気の頻度を下げても時計の精度には影響しません。
まとめ：メリハリのある設定が正解
スマートウォッチのバッテリーを持たせつつ、正確な時刻を保つための極意は、「通信のメリハリ」です。
ウォッチ管理アプリのバックグラウンド動作は「死守（許可）」しつつ、通知や画面点灯、その他の頻度設定で「節約」する。
この一点を守るだけで、「気づいたら時間がずれていた」というトラブルは激減し、かつバッテリー持ちも改善されるはずです。
ぜひ、今すぐお手元のスマートフォンの設定画面を開いて、管理アプリが「最適化」や「スリープ」の対象になっていないか確認してみてください。
