子どもが危ないことをしたり約束を破ったりしたとき、「怒らないようにしよう」と思うほど、注意してよいのか迷うことがあります。
怒らない子育ては、子どもの行動を何も止めないことではありません。
親の感情をぶつける「怒る」と、理由や次の行動を伝える「叱る」を分けて考えると、必要な注意をしやすくなります。
この記事では、子育てにおける怒ると叱るの違い、叱る必要がある場面、子どもに伝わる叱り方を具体例とともに紹介します。
子育てにおける「怒る」と「叱る」の違い
怒ると叱るは、声の大きさだけで分けられるものではありません。誰のために、何を目的として言葉を伝えているかを見ると違いが分かりやすくなります。
| 比較する点 | 怒る | 叱る |
|---|---|---|
| 中心 | 親の不満や焦り | 子どもの安全や学び |
| 伝える内容 | 感情や非難が広がりやすい | 問題となった行動に絞る |
| 言葉 | 「いつも」「何回言えば」などが増えやすい | 理由と次の行動を短く伝える |
| 子どもに残ること | 怖かったという印象になりやすい | 何を変えればよいか分かりやすい |
「怒る」は親の感情が中心になりやすい
親が思いどおりに進まない不満や焦りを、強い声や言葉で子どもへぶつける状態です。
怒りを感じること自体が悪いわけではありません。疲れている日や急いでいる日は、誰でも感情が高ぶります。
「叱る」は必要なことを子どもへ伝える行為
叱る目的は、危険を避けること、他人を傷つけないこと、生活に必要なルールを理解してもらうことです。
先ほどの片付けなら、「床におもちゃがあると踏んでけがをするよ。箱に入れよう」と伝えます。
次のように、叱るときに声が少し強くなる場面もあります。
その後、安全な場所で理由を短く話せば、感情を長くぶつけずに済みます。
子どもを叱る必要がある場面
- 道路への飛び出しや火への接近など、命やけがに関わる行動
- たたく、蹴る、物を投げるなど、人を傷つける行動
- 他人の物を壊す、持ち帰るなど、権利を侵す行動
- 家族で決めた安全や生活に関わる約束を守らないとき
危険が迫っているときは、理由の説明より先に止めます。子どもの手をつなぐ、危険な物を離すなど、安全を確保してから「熱いから触らない」「人に向けて投げない」と簡潔に伝えます。
一方、服の色、遊ぶ順番、片付け方など、親が譲れることまで強く統一する必要はありません。叱る場面を重要なことへ絞ると、子どもも「今は本当に止まる必要がある」と受け取りやすくなります。
子どもに伝わる叱り方のポイント
叱るときは、過去の失敗や親の苦労まで広げず、今起きた行動へ焦点を当てます。「何が問題か」「なぜ止めるのか」「次はどうするか」を子どもの年齢に合う言葉で伝えましょう。
問題となった行動を具体的に伝える
「ダメ」「悪いことをしないで」だけでは、どの行動を変えるのか分かりません。
「道路へ飛び出すと車にぶつかるから、ここで止まろう」「おもちゃを投げると人に当たるから、床に置こう」のように、見えた行動をそのまま言葉にします。
大人には当然と思える理由でも、子どもは経験が少なく、危険を予測できないことがあります。長い説明は避けつつ、理由を一つ添えることが大切です。
人格ではなく行動について伝える
「悪い子」「乱暴な子」「嘘つき」といった言葉は、子ども自身を否定します。直してほしいのは子どもの存在ではなく、そのときの行動です。
「人をたたくのはやめよう」「本当と違うことを言うと確認できないよ」と、行動へ言葉を向けます。親が腹を立てていても、「あなたはいつも」と過去までまとめないようにしましょう。
短く分かりやすい言葉で伝える
落ち着いた後も、説明は要点に絞ります。同じ内容を言い換えて何度も続けるより、子どもに「次はどうする?」と確認したほうが理解を確かめられます。
次にしてほしい行動まで伝える
してはいけないことだけでは、代わりの行動を選べません。
「廊下は走らない」に「歩こう」を加える、「大声を出さない」に「小さな声で話そう」を加えるなど、次にできる行動を示します。
子どもが実行できたら、「歩けたね」「床に置けたね」と行動を具体的に認めます。叱った後にできたことへ目を向けると、注意だけで関係が終わりません。
場面別に見る子どもへの叱り方と声かけ例
道路へ飛び出しそうになったとき
「止まって!」と行動を止め、安全な場所へ移ります。その後、「車から見えないことがあるから、道路の前では止まって手をつなごう」と伝えます。
友達をたたいたとき
物を投げたとき
投げた物を安全な場所へ移し、「人や窓に当たると危ないから投げない。ボールを投げたいなら外でしよう」と代わりの方法を示します。
約束の時間を守らなかったとき
「約束を守れない子ね」ではなく、「7時に終わる約束だったね。今日はここで終わりにしよう」と事実を確認します。次回は終了前に予告するなど、守りやすい方法も一緒に考えます。
子どもを叱るときに避けたい対応
次の対応は、注意の理由より恐怖や悔しさが強く残りやすいため避けましょう。
- 大声で長く怒鳴り続ける
- 人格や能力を否定する
- きょうだいや友達と比べる
- 以前の失敗を何度も持ち出す
- 人前で必要以上に恥をかかせる
- 理由を聞かずに決めつける
親が「正しいことを教えなければ」と思うほど、説明が長くなる場合があります。しかし、叱る時間が長いほど伝わるとは限りません。その場の問題を一つ伝え、次の行動へ移れる状態を作ります。
感情が高ぶっているときは叱る前に落ち着く
親の気持ちを整える具体策は、子育てでイライラしたときの対処法で詳しく紹介しています。

子育てにおける怒ると叱るの違いまとめ
怒ることは親の感情が中心になりやすく、叱ることは子どもの安全や学びのために必要な行動を伝えることが中心です。
子どもを叱るときは、人格ではなく問題となった行動へ焦点を当て、理由と次にしてほしいことを短く具体的に伝えます。危険な場面では先に安全を確保し、説明は落ち着いてからで構いません。
怒らないことは、何も注意しないことではありません。譲れる場面と止めるべき場面を分け、子どもが次の行動を選べる伝え方を目指しましょう。
日常全体で怒りにくい対応を確認したい人は、子育てで怒らない方法7選も参考にしてください。


